第7回 原稿を自然に読み、感情を表現するコツ
- 駆動良
- 5月8日
- 読了時間: 3分
―“熟読”で理解し、“計画”で感情を設計する―
はじめに
マイク前で文章を〝生きた言葉〟に変えるカギは、
内容理解(熟読) と 2. 感情設計(事前計画)。この2本柱が揃うと、声の抑揚や間(ま)は“出たとこ勝負”ではなく、狙って再現できるスキルになります。今回は 「読む前にやるべきこと」 に全振りして、感情を込めた読みへつなげるロードマップを解説します。
1. 熟読フェーズ ─ 原稿を“血の通った情報”に変える
ステップ | やること | チェックポイント |
① ファクト抽出 | 5W1H を蛍光ペンでマーキング | 設定・状況を10秒で言える |
② サブテキスト発掘 | 行間の“本音/裏事情”を余白にメモ | セリフの裏動機が明確 |
③ 感情トリガー探し | 喜怒哀楽を動かす言葉に☆マーク | 心が動く瞬間を特定 |
コツ:声に出す前に“読者”になり切る。まずは文章を頭と心で味わい尽くすこと。
2. 事前計画フェーズ ─ 感情を“設計図”に落とす
2-1 感情カーブを描く
主感情を1つ決定(例:安堵)
副感情を2つまで追加(例:安堵+少しの寂しさ)
強度を 0-5 の目盛で数値化し、台本左端にグラフのように落書き
2-2 ブレス&テンポプラン
マーク | 意味 | 例 |
/ | 通常ブレス | 文章の文節間 |
// | 感情ブレス(聞かせる息) | 感情ピーク直後 |
▲ | テンポアップ | 焦り・高揚感 |
▼ | テンポダウン | 余韻・ため |
2-3 ボディイメージ指示
(拳を握る)→ 音圧UP・子音強調
(肩を落とす)→ 音圧DOWN・語尾ブレス長め
POINT:計画は“読むための地図”。詳しすぎて迷惑にならない程度に、 一目でわかるビジュアル を心がけると収録現場で役立ちます。
3. 読みの準備フェーズ ─ 効果的なウォームアップルーチン
所要11分で “声・息・心” を同期させる。
ストレッチ(3分):肩甲骨&胸郭を開く
リップロール / ブラブラ(2分):顔周りを解凍
キーセンテンス録音→再聴(3分):音色とマイク距離を微調整
感情カーブのイメトレ(2分):目を閉じてカーブを再生
深呼吸→ポジション確認(1分):腹圧と姿勢を最終チェック
4. まとめ ― 熟読×計画 = 再現できる感情表現
原稿理解が 感情の“根”。
感情設計が 表現の“幹”。
準備ルーチンが パフォーマンスの“土壌”。
この3つを仕組みにしてしまえば、本番ごとに波が出ることはありません。まずは 「読む前の11分」 をルーティン化し、感情カーブを毎回“設計通り”に描けるかを検証してみてください。

📌 セルフチェックリスト
原稿の5W1Hとサブテキストを書き出した
感情カーブを数値と記号で可視化した
ブレス&テンポのマークが機能的に整理されている
ウォームアップを11分以内で完了できた
次回予告
第8回:原稿を自然に読み、感情を表現するコツ(感情のシミュレーション)“実際に感情を感じる”ワークと、“擬似的に感情を呼び起こす”シミュレーションテクニックを徹底解説します。
それでは、次回もお楽しみに!




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